そんだけダラダラと朝方から浅い眠りを続けていたからだろうか。
しかし、実に微に入り細にいり感覚性リアル80%な夢だった。
ヒトはどれくらい夢の記憶が残るのだろうか。
大脳の発達した哺乳類は夢を見るらしいが、
どんな記憶のかけらとなって残るものなのだろうか?
***
古いカーナビのdataよろしく、GPSで捉えきれないのか、道が途中ですぼまり、枠線も点線でさえも描かれなくなる細道。そんな細い道が南北に2本走っていることが描かれた地図。その地図が何度も現れては消え、消えては現れ、いつしか自分の手にその小さな紙切れを写し取ったかのように掌に紋様な感じで浮き上がってくる。
登場したパートナーの男は榎本なんちゃら似の背の高い人物。多分榎本なんちゃらがインド滞在経験がある事を何かで知ったから登場したのだろう。どこか泥臭さを感じさせるが土地勘のある頼もしい感じの男だった。夢の途中から登場した。
和音の奥にRPR |
私一人。
助手席には麻袋に詰めた荷物が一つ。
自分が二輪車ではなく四輪車(しかもコンバーチブル)を運転しているというのが奇妙だったが、夢だから・・・。
場所は、これもいつかどこかで映像を見たことがある国、地中海辺りの国か?カラッカラに乾燥した空気に照りつける太陽。風を切ってブンブン加速。髪を結わえていないので風に舞って顔にまとわりつき、サングラスの縁に引っかかって、丁度雨の日のワイパーonフロントグラスみたいに規則的に動く。自分の乗っている車(恐らくレンタカー)が走り抜けると、土埃が僅かに舞い上がるのを見ている私がいるが、夢だから・・・。
大通りを突っ切っては見たものの、見知らぬ土地、背の低い草が生えた畑が道の両側に広がり、とってつけたような出店が数軒、昼下がりのだるい時間を過ごしているだけの田舎町。
突然「ここはメヒコだ!」と認識する。
おや?地中海に面した国に来ていたのではなかったのかぃ?
ま、いっか~。
もういちど元来た道を引き返そう、と地図を見る。
すると榎本なんちゃら似の男が「消えかかっている道が北に向かって2本並んでいるだろう?その右側の道を行けるところまで進んでみよう」と声を掛けてきた。
な、何を突然!あんたは誰?
とは尋ねない。
最初からその男は車に同乗していたはずだが、夢だから・・・。
「そっか~。でも、この車幅じゃどこまで行き着けるか分からないし、対向車が来たらアウトだねぇ」などとブツブツ言いながらハンドルを左に切る。Uターンして少し前に通過した三叉路まで戻り、目的の「右の細道」へと向かう。
「さっき、ここを通過した時、なんだかおかしな道だなぁ、とは思ったんだよね。こりゃ私道でしょ?道幅2mもないでしょ?そんなんが2本、ほぼ並行に南北に走ってるなんて奇妙だよ。道と道の感覚も数mないみたいだし。何故こんな川の細い支流のような道が2本も同じ方向に走っているんだろう?」と私。
手前あおい、 奥は、くしゅくしゅポンなジョゼフ |
何とな~く、だけど、地図そのものに見覚えがある。いつどこで見たのかまでは分からない。ちょっぴりノスタルジックだけど、ちょっぴりリスキー。
ま、これは夢だから・・・。
そう、夢の中だということが分かっている夢。
さて、いよいよ、右の細道入り口まで坂道を上ってきたぞ、と。また左にハンドルを切る。両側に土壁が延々と続く。ハリーポッターの魔法の地図みたいに、地図上に自分の姿が現れて動いているとしたら、今頃どこら辺に点滅しているのだろうか?そんなことを考えていたら、急に道が開けて広場に変わった。広場の中央には噴水が・・・無い・・・代わりに、古びたピックアップトラックが駐まっている。荷台には干し草とレンガが積んである。
運転席に人影が見える。ん?
な~んだ~、○田電気工事店の店主やないかぃ!
なにしてんのこげなとこで?
は?特命を受けて仕事しに来た?
え?世界遺産登録に申請中?
そんな凄いトコなん?
「以前ココは歓楽街でもあったんだ。今は寂れて客足も少ないけどね。あそこに大きな円柱が見えるだろ?行って上を眺めてみたら、この空間がどれだけ凄いかが分かるはずだ」と、またまたいつの間にか傍に立っているエノヤン。さっきまで運転していた車は消えているが、夢だから・・・。
エノヤンに促されて段差大きな石の階段を跨ぐようにして上る。南インドの美しい町Mysoreのどこかにこんな所があったような・・・。石段の途中で蛇つかいの男が縦笛を片手に持って石に腰掛けジィ~っとコチラを見据えている。
石段を上り詰めると直径数メートルの象牙色をした円柱が建っている。円柱の奥は薄暗い。目を凝らすと、以前は賑やかだったことを思わせるような店が軒を連ねている。殆どがシャッターを下ろしている。そんな店舗がひしめき合ってくっつき合ったプラネードらしきものが緩く弧を描いてずっと先まで続いている。まるでローマのコロッセオ外壁に出店が並んでいるみたい。あの地図に全く何も描かれていない広い空間は此所のことだったのだろうか?
いつのまにか傍に来ていた蛇遣いの痩せた男が私の肩に指を突き刺す。その指の示す方向を見上げた。石造の円柱内部が綺麗にえぐられ、更にその中に仏教の塔の天辺に載っかっているような楕円形の相輪が幾十にも積み重ねられているみたい。
「コズミックブルースが聴きたくなったよ」
というわけで、夢の中で口ずさんでいたのは
↓
歌を歌い終わったら、場面が変わっていた。
エノヤン言う所の『閉ざされた最後の空間』にある高層建築物、その住居部分にある一室(といっても、「玄関開けると0.1秒で螺旋階段」な感じで居室どうしが相輪タワーと繋がっていて殆どプライヴァシーは守れない)を借りて住まっていた私。同居人は、エノヤンと私の子供。
どうやら、エノヤンは外出中らしい。部屋の中で子供とタップダンスを踊りながら夕餉の支度をしている私。何故かバーラタナティヤムの踊り手のようなサリーを着用している。足首に巻いた鈴が動くたびにシャラシャラ~♪と音を立てる。そこへチャイムが鳴る。玄関扉を開けると、さっきの蛇遣いのおっちゃんが立っていた。
「塔全体に足音が響いて困るから静かにしてくれないか。ここで騒音が出たら焼かなきゃいけないんだ。」
それだけ言うと、螺旋階段の真ん中に一本通っている軸を、出動する夜勤の消防士のようにシュルルルルと滑り降りていった。
騒音を焼く?焚書じゃあるまいし、どうやって音を焼くのよ?
おっちゃんが地上に無事降りるのを確かめた後、子供の手を引いて外へ出た。母「日帰りで旅行しようっか?」 子「うん♪しようしよう!お父ちゃんも誘って」。ゐ?お父ちゃんって?誰やろ?
不可解に思いながら町に出た。。。途端に目の前に広がったのは、最果ての地に存在するかのような遺跡群。エノヤンも傍らにいる。大地から突きだしたような岩の首元に影が長くなる。「そろそろ帰ろう。巡回バスのルートには無いから、中距離バスをつかまえないといけないんだ。」とエノヤン。
3人それぞれ猛ダッシュしたら、鄙びた町のバスターミナル。ん?ここは私の故郷にあるバスターミナルによく似ている。いや、まさに、ソレだ。いや、違う?そんなことを思いめぐらしボーっと立っている私にはお構いなく、エノヤンは子供の手を引いて乗るべきバスがどの乗り場から出発するかを確認している。
座席が全くないため乗客は老若男女全員立ち吊革につかまっているヘンテコリンなバスが私の目の前に停まり乗車口が開いた。次の瞬間には、自然と体が動いて乗車してしまっていた。扉が閉まるが早いかバスは発車した。「あ、あの、連れが居るんですけど、まだ、乗車してないんっすけど・・・連れてきますから降ろして下さい。」私は運転手に頼んだ。
「お客さ~ん、このバスはねノンストップバスなんだよ」
「え?だって、さっきストップしたぢゃん!?」
「そりゃ、あそこが出発点ですからね」
「とにかく、降ります。降ろして下さい。」
「それなら、降車規定違反料金を支払って下さい。」
「いくらなのですか?」
「150円」
サリーの角に巻き付け縛っておいた小銭をありったけ運転手に渡してバスを飛び降りた。二人の所まで息を切らして走っていった。「間違えちゃった、バス」喉の奥がひりひりする。「俺も他のバスに間違えて乗ろうとしたけど、姿が見えないから探してたら乗りそびれた。でも、そのバスじゃ帰り着けないんだよ。乗るべきバスは、ついさっき出発してしまったし、次の便はどうやらもう暫く待たないといけないらしい。」
時刻表のボードを見上げた。ホントだ!あと3時間も待たないといけない。何て間が悪いんだろう。
憂鬱な気分になりかけたが、次の瞬間には3人でバスに乗っていた。
夢だから・・・。
車窓から眺める町並みは、サンクトペテルブルグ?
玉葱のお化けが建物の上に載っかっているぞ。
メヒコからロシアにいつ吹っ飛んできたんだろう?
それにしてもやけに暑いなぁ、バスの車内。
「ほら、あそこにオベリスクみたいな建物が見えるだろ?あの麓まで行けば家に帰り着けるんだよ」
その言葉を聞いて目が覚めた。
一体・・・何を象徴していたのだ?
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