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2009-08-08

study room-欠乏症1-

画像奥緋色の花は『フリュイテ』上葉にクロロシスっぽい症状が発現した7月下旬。手前は『ブランピエーゥルドゥロンサール』サイドシュートの新芽
フリュイテ(FL複朱)国産苗新苗6号鉢植品
ブランピエールドゥロンサール(Ant白)国産苗新苗

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栄養素欠乏症の代表がクロロシスとか。
クロロシスの症状が見られた時に、良い機会だから要素欠乏症状と過剰症状について整理しておこうと思った。いずれの場合も、単に肥料要素の欠乏や過剰だけでなく、バラ個体の樹勢、各庭土/鉢土の水分、栄養素のバランスなど諸条件が関係してくることは念頭に置かないといけない。その上で、まずは欠乏した場合の基本的な症状について整理する第一回。
各栄養素の役割と働きについてはココを参照♪
他にどんな症状があるかなぁ。例えばブラインド(花芽の付かない枝のこと)を引き起こす要因は何だろうとか、葉や花の形がちょっとおかしいだとか、成長点が伸び悩みだとか、枝が太らないとか、いろいろありますねぇ。一度にまとめようとするとパンクしちゃう。パシュ~ン♪

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第一回 クロロシスに関連する要素不足と症状
☆まずは三大栄養素と言われるNPKのまとめ
・チッ素N(タンパク質を作る)が不足すると・・・
株全体が貧弱になる。
発芽もしにくくなる。
下葉から色が薄くなり花芽の付かないシュート(ブラインド)が発生しやすい。夏花でもないのに花弁数が減少したり痩せたような感じになる。側根の発生が少なくなる(水分吸収効率が落ちる)。 ♪植物の体に必要なタンパク質をしっかり作ってもらうためにまず必要な要素ってことよね。人間でも同じ♪

・リン酸P(エネルギー代謝)が不足すると・・・
生育不良、品種によってはステムが痩せ葉が小さくなって葉色が悪くなる。花弁数が減り、開花と共に変色しやすくなる。落葉はやや多い。♪要するに枝葉(花も葉の一部だから)の成長を阻害するってことね

・カリK(調節機能を担う)が不足すると・・・
新梢の節間が詰まり上位の葉と茎はアントシアン色素が増し濃緑色になる。下葉の周縁部が黄化し褐変して枯死する。根は発育不良となる。落葉は少ない。アントシアン色素って青色素でもあるんでしょ?よく分からん

三大栄養素の働きは、
「Nで作ってPで代謝、Kで調整する」ってことでまとめ。


☆クロロシスに関すると考えられる微量要素
・硫黄S(タンパク質構成成分)が不足すると・・・
葉が緑黄色になり、生育が低下する。上方の葉にクロロシスの症状が出やすくなる。♪植物のタンパク源となるものだもんね。それにバラにとって硫黄は黒星病の予防にもなるのですよ。植物がイオウを吸収/利用/代謝するしくみについて遺伝子レベルでの研究が近年盛んになってきているそうです♪

・マグネシウムMg(葉緑素生産)が不足すると・・・
新梢葉に生気がなくなり黄緑色に。小葉周縁部の葉脈間に白い小さな斑点が生じると同時に葉表面に褐色の薬疹状の斑紋が不規則にあらわれて落葉がはじまる。♪この症状は結構実際のバラ苗で目にしているかも。変色して斑点のでた小葉がポロッと落ちたり..。今度からもっとよく観察してみようっと。

・鉄Fe(葉緑素/タンパク質生成)の不足で・・・
植物体内での移動が他の元素と若干異なって(詳細は未来記事)移動しにくいため、上方の葉に症状が発現しやすい。葉脈の間が白っぽくひどいクロロシス症状を見せる場合は鉄分の不足。芽の伸びが悪くステムは細く葉肉も薄くなる。ブラインドも起きやすくなる。♪リン酸の過剰によって鉄欠乏が引き起こされることがあるようです〔道管中でリン酸鉄の沈殿が出来るため:この点に関しても未来記事〕

・マンガンMn(光合成/鉄代謝/葉緑素生成等)の不足で・・・
新葉の葉脈間にクロロシスが発生しやすくなり、落葉が発生することもある。♪鉄分の代謝にも関わっている要素なのねん♪

・ホウ素Bn(ショ糖/デンプン移動その他諸々)の不足で・・・
若い部分から発症し,新葉にやや不明瞭なクロロシスを呈し硬化する。蕾の発達が悪く黄化落蕾する。根の発育が悪くなり、分岐根に“こぶ”が特異的に発生する。茎にひび割れが生じるのはホウ素不足の可能性が高い。♪分岐根なんてそうそう観察しないから分かりませんが、茎のひび割れは確認できますね♪

・銅Cu(酵素系、タンパク質/葉緑素生成等)の不足で・・・
上下葉ともにクロロシスの発生要因。

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とりあえず、こんなもんでしょうか?
各要素の働きがそれぞれに絡み合ってることも考えられるから一概には言えないけど、微量要素(元素)の一寸したバランスの崩れで全体に大きな影響を与えるってことはよく分かった(つもり)。人間の体に置き換えて考えればよく分かる(つもり)。

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参考サイトについて:
*参考にしたサイトはいくつかありましたが、検索中にAntivirus softをくぐり抜けて(楽趣味のPCに)ウィルス感染を引き起こしたものがありました(特定出来ていない)ので、案内は差し控えます。学術機関のサイトとしては、study room-ナトリウム-にて案内したサイトが有益でした。

参考文献は以下のもの。

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