ページ

2010-10-25

植物が葉を落とす時

秋。植物の葉が色づく季節。
中には常緑の植物もあるけれど。
紅葉した後、落葉する植物もあれば、
紅葉せずに、ある日突然葉を落とす植物もある。

・紅葉leaf colorについてはWikipediaのココ参照。
・落葉deciduousについてはWikipediaのココ参照。

サフラノ:凛として空に向かう
落葉は、
(1)気温の低下
(2)乾燥
という条件に植物が適応することと考えられている。但し、乾季のある熱帯地方では乾燥を避けるために落葉が起きるそうだ。*注) その仕組みについて、以下引用。


春から夏にかけ、太陽の光を受けて光合成をしてきた落葉広葉樹の葉では、秋になって気温が下がると光合成の活性が低下し始める。ある程度以下に光合成量が減ると、葉はたんにエネルギーを消費する〈お荷物〉になる。また、土壌が凍結する地域では、根から水を吸収できないのに葉の蒸散で水が失われれば、植物全体が乾燥してしまう。それを避けるためには、葉を捨てるしかない。
紅葉や黄葉は、緑色の色素クロロフィルがそれと結合するタンパク質とともに分解・回収されるため、アントシアニン(赤色)やカロテノイド(黄色、オレンジ色)などほかの色素の色が見えてくる現象だ。
『植物が地球をかえた!』第5章)
レディエマハミルトン:雨上がり、愛くるしい姿
では、なぜ、寒くなるとクロロフィルが分解・吸収されるのか?
上記参考文献によると「葉を捨てる前に、できるだけリサイクル可能な葉の材料を回収しているから」だそうだ。
葉の材料となる物質とは・・・?


葉っぱといえば、緑。
緑といえば、葉緑素。
葉緑素といえば、光合成。
光合成に必要な物質である葉緑体には窒素Nがたくさん含まれているのだ〔光合成やタンパク質ルビスコについては、本ブログのラベル「光合成」に既出記事〕。植物にとっての必須元素でもあり、三大栄養素(無機物)とされる窒素リン酸カリNPKのNだわさ。
植物は根から土壌中にあるNを吸収し光合成等に利用し体の栄養素を作っていく(吸収するのはNだけじゃないよね^^)。植物の生命活動に必要となるエネルギーは光合成でまかなえるが、Nをはじめとする無機物は作り出せない。少しも無駄にしないようにしているわけだね。
再び同書から引用。

窒素以外にも、植物は葉の中の必要な物質をできるだけ回収してから葉を落とす・・・略・・・落葉の寸前まで葉の細胞は生きていて、細胞の浸透圧調整機能などは維持されている。核も葉緑体もなくなって、中身はスカスカになっても、ぎりぎりまで〈がんばって〉回収を続けているようだ。・・・略・・・
葉の中の水溶性タンパク質は、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)で分解し、アミノ酸として回収する。糖質はそもそも光合成でつくられた瞬間から葉の外へ運び出されてしまうので、葉の中にはほとんど無い。

これに続く日光植物園センセである舘野さん談が興味深い。曰く「葉を食べる虫は、糖質を狙ってくるのではなく、(窒素をふくむ有機物である)タンパク質が目当てなのです。人間だって、糖質を摂ろうとして野菜を食べてはいないでしょう?リンなども回収していますが、メインは窒素で、七割くらいは回収しているようです。『紅葉がきれい』というのは、回収がうまくいっている証拠

気温の下がり方は回収に影響するらしい。
秋まだ浅い時期の寒波などは葉を汚くしてしまうとか。
気温は徐々に下がっていくのが植物にとっては望ましく、突然の冷え込みは葉の細胞を壊死させてしまうから「栄養物」回収のための準備作業もうまくいかなくなってしまうようだ。


今の時期、バラの葉は黒星病に罹っているものがある。
楽庭でも、大きな黒い斑点ができている葉が少なからず。
だが、バラの側に「葉を落とそう」という気がない限り、出来るだけ葉は残しておくようにしている。見場は悪いけれど。他の健全な株に感染するかも知れないという危惧は否定しない。だが、黒星病の拡散を抑えるとされる重曹や天然多糖類の配合された赤ニーム(ローズニーム)を撒布しているからか、どうしようもないほど黒星病が蔓延しているというのはここ数年経験していない。


【本日のまとめ】

しっかり吸収、ちゃっかりリサイクル

*注 参考文献注による(p. 96)

《黒星病関連主要記事》
黒星病Black spotとの闘い1 -緒言-
黒星病Black Spotとの闘い2 -菌糸の正体を探らなきゃ-
黒星病Black Spotとの闘い3-菌糸の発芽から成長まで-
黒星病発生しちゃった
黒星Gゼロ-雨夏の2009-
黒★(黒点)報告(6/18)


4 件のコメント:

  1. 楽趣味さん、Namasteです~

    「落葉の寸前まで葉の細胞は生きていて」
    ここを読むとなおさらむしりとることができないです。
    我が家でも思い出さんが黒点祭り開催中ですが、まわりを強健なお姉様方で固め、落葉するまで様子を見ることにしています(放置ともいう^^;)。

    あと、うちに挿し木苗でいただいたミスティパープルさんがいらっしゃるのですが、この方は茶色くチリチリになっても頑として葉っぱを落としません。さすがに見た目が悪いのでむしろうとしたんですが、取ろうとしてもちょっとやそっとじゃ取れなくて、あきらめました。
    やはり、細胞が生きているのですね。
    回収作業、頑張っていただきたいです。

    返信削除
  2. 理雪さん Namaste/^^

    理雪さん地方も随分と冷え込んでいるのでしょうね。こちらも寒くなりました(^^;めっきり初冬物語ですw

    そうそう。むしり取れないんですよね。無理に取ろうとしても、葉柄部分が簡単に剥離しないんですよ。
    放置でも株自体が元気ならダメージは大きくないと思いますよん♪
    それにねぇ・・・ココだけの話ですが、昨年の今頃、無理に葉をとった株と取らずに自然落葉に任せた株ってな実験をしたんですけどね、無理に葉を取った株は初めのうちは病葉もないので見た目も何て事無かったのですが、その後の生長に多少なりとも差が出たのです。だいたい同じような条件にしたんですけど。逆に葉を残したのは、思わず葉をむしりたくなるのをぐっと堪えて自然に任せました。

    ミスティパープルさんも結構強情ですか?
    ぢつは・・・同じ河本さんのテンダーやガブリエルも強情なのです(葉を取れないという意味で)。
    ニームを撒布してる時に「あ・・・もうダメ、落とす」って場合には落としてくれるので、バラとニームとの会話に任せてます。
    落ちた葉はたまにかき集めたりするけど・・・概ね放置状態^^
    赤ニームがかかっているから、ま、いっか~、です。
    こんなんでも、強いバラはグングン生長しましたから。楽でいいなぁって・・・^^

    返信削除
  3. 楽趣味さんありがとうございます。

    実験のお話、興味深かったです。やはり、むしりとってしまうと回収作業を中断させてしまうことになってしまうからなのでしょうか。
    方針決定です。バラのために、放置を^^(いえ、単なるズボラです)

    強情な人、けっこう好きだったりします。
    ガブリエル、大苗ポチりたい衝動にかられてます~

    理雪地方、本日の最高気温10.6℃、明日は最低2℃最高9℃の雨だそうです・・・
    まさに突然の冷え込みなので、バラさんたちの体調も心配です。
    冷え込みに負けないくらいの体力がついていることを祈っています。

    返信削除
  4. 理雪さん Abr Namaste/^^

    YouTube三昧をしておりまして返事が遅くなりました。
    ぷふふ(^m^)あ~おもろかった。

    それはさておき、出来る限り秋までに光合成をして貰って、出来た養分を株元に送り込んで貰って、天高く馬肥ゆる秋にするのが基本的に良いことなのかしらね。

    ガブヤン、ええっすよ~♪
    ミスティパルプルとはまた異なる趣があるとおもうです。
    ミスティさんが和の楚々とした美人なら、
    ガブヤンは・・・・・・地上に舞い降りた美天使・・・かな?

    バラには、寒さを受けてしっかり株を引き締めて貰いましょう~♪

    返信削除