実兄の徳富蘇峰は「富」の字を、弟は「冨」の字を用いた。
蘇峰と蘆花は水俣生まれだそうだ。
蘆花の号は、晩年を過ごした世田谷の「芦花公園駅」名等に残っている。
●徳冨蘆花著『自然と人生』
自然を主とし、人間を客とし、旧稿の粋を抜き新作の秀をあつめたる小品の記文、短編の小説、無韻の詩とも言ふべく、水彩の画とも云ふ可きもの、無慮百篇を一巻に収む。消夏の読料には尤も妙ならん。
●森村泰昌著『「美しい」ってなんだろう?-美術のすすめ』
最初は、どんなことでもかまいません。こんなこと言ったら、バカだと思われるんじゃないかなどと気にしていては、なにもはじまりません。ともかくまずなんでもいいから、「これってふしぎだな」と感じることです。
ふしぎがあると、気持ちがドキドキしてきます。このドキドキ感が美術のおもしろさです。
そしてこのふしぎに感じた謎を、じょじょに解きあかしてゆこうとするとき、勉強してたくわえてきた知識がやっと役に立ってくる。
ですから、勉強しておくことも結果的にはたいせつなのですが、美術の世界のおもしろさって、勉強だけではぜったいにえられないんですね。
●鷹野つぎ著『時』
若し自然の年齢といふものがあるなら、彼の女の若い日のおもかげにそのまま徐かに年齢の影を宿してゐるやうな、その穏やかな変化を指していつてるものと思つていいであらう。彼の女には時に虐げられたり、抗らつたあとが見えないのだつた。「まあ、お変わりにならないこと」私は話の序でにいつてみせたが、意味はその変りかたの良さであつた。
●正岡子規著『筆まかせ抄』
為すべきと思ひしことも為し得ぬこと多く
為すべからずと信ぜしこともいつかはこれを為すに至ることしばしばなり。
●山口信博著『白の消息』
幼いころから牛乳を毎日1リットルずつ飲み続けている。生家が牧場だったので、その頃の習慣がぬけない。
牛乳の風味には個体差があり、同時に牛の体調や飼料によっても毎日異なる。当然、牛乳の白い色も毎日異なる。乳白色にも色々あるのである。このデルフトの白釉の壺もまた、その白さがその日の天候や時間によって変化する。
静かで目立つことがないが、飽きがこない壺である。何でもない当たり前の形の壺が、国も時代も超えうるのだ。これは、デザインにもいえる。
0 件のコメント:
コメントを投稿