2011-05-11

あれから2ヶ月

東日本大震災発生から2ヶ月目。
未だ避難所生活を強いられている人々。
行方不明者多数。
持ち主の帰りを待っているのか、ランドセル。




日赤保存血液でDNA鑑定の身元確認。
死の灰が降り汚染された土地。
重苦しい防護服着用でほんの一時自宅へ。





天皇も皇后も本日福島入り。
防護服も着用せずに。
平和な時であれば、
自衛隊機のタラップを降りる皇后の手を取る天皇の姿を微笑ましく見るだけであろうに、思わず熱いものがこみ上げてくるのは、自分だけだろうか?

お二人の姿を報道で見るたびに、バトラは言う。
「体調万全ではない年老いた二人を何故行かせるのだ?」と。
自分の両親と同じくらいの年齢だから、心も痛むようだ。





かたや、事故原発から半径20km程の地点、防護服に手袋着用で
素手の相手と握手する幹事長も存在するという、おかしな現実。





「親方日の丸」が抜けない電力族(賊?)。
自らの懐を痛めず、役員の首も切らず、
温床を残したまま自分の城を守ろうとする不届き者。

今ある悪しきものを潔く一掃して、
公明正大で切磋琢磨の経営努力をしない限り
真の意味での再生はありえないぞ>政府・東電・保安院

駿河トラフの上に建つ原発停止は第一歩なのかもしれないが
だからといって、諸問題が解決されるわけではない。





オランダだったか、どこの国だったか忘れたが、
日本からのコンテナから規定以上の放射性物質が検出されたとか。
既に地球のほぼ反対側にも、東電福島原発の死の灰は到達したのだ。

世界は広いが、世界は狭くもある。


大地震発生後、誰が原発の事故を即座に予想しただろうか?
それでなくても、
多くの命が失われ、
人は深く傷つき慟哭したのに。

この2ヶ月間、何度も口にし、胸中で繰り返した
「原発事故さえなかったら・・・」という一言。





大地震発生後、何度も目にした一言。
「今、自分に、出来ることを、精一杯」

ならば・・・!

科学者の日記110512(2) 明るい未来は自分で作る
おそらく冷静に事態を見つめ、未来の日本社会を思い浮かべることができないのでしょう。
政府や文科省の発言を聞いていると、「我慢しろ、止める、文句言うな」など暗く、後ろ向きのものが多いように感じます.
その一つが「福島を見捨てる」という大方針です.
「そのぐらい、健康に関係ない」、「30キロ圏内は待避」、「児童や20ミリまでOK」、「校庭の土をひっくり返して地下水を汚す」など、いずれも極めて後退的な結果をもたらし、福島を見捨てることになります.
福島の人(もちろん、茨城、栃木なども同じ)は、放射性物質で汚染された大地で人生を送りたいのではなく、東電によって汚された大地を返してもらう権利があるのです。
東電は、原発で収入を得て年俸4000万円を取っていたのに、
東電は、60京ベクレルを漏らしてもバスを用意しません。
東電は、水を汚してもペットボトルを用意しません.
東電は、土地を汚しても元に戻すこともしません.
東電は、児童が被曝していても疎開の学校を用意しません.
東電は、それでも重役が報酬を受け取っています.
最近では見ることができないほどの悪質な会社です.
・・・・・・・・・
東電はどうなっても良いのですが、福島は元に戻さなければなりません。
悪質な会社にひっかかったという感じですが、回復方法はあります. 
なぜ、政府も福島県もすぐに手がけないのでしょうか?
・・・
畑を耕して野菜を植え、田んぼを作り、小学校を開校する前にやることがあります。それは「綺麗にしてから」ということです。
どんなものでも、汚れることがありますが、汚れをそのままにしてやる人はいません.まずは汚れをとって、それから取りかかるのが常識です.
・・・
「放射性物質」は「放射線」ではなく「粒、粉、チリ」です。だから、まずそのチリを除いてから生活し、学校を開き、農業を進めたらどうでしょうか?
自衛隊、ボランティア、農家、サラリーマン、今まで日本にお世話になった老人などが総出で、まずは「福島を清掃する」ことから始められることを推奨します.
いかに「1年100ミリシーベルトまで大丈夫」と言っても、それを信じる外国人はいません. もしも福島を綺麗にしなければ、福島の子供の健康が損なわれると共に、経済的にも大きな損害が続くでしょう.
1年20ミリなどという基準は世界では通用しません.それはすでに、外国の論評でも明らかです.
そうなると、今後、30年、福島には外国からの観光客や外資系の会社は来ないし、福島産の農作物ばかりではなく工業製品も輸入規制にあうでしょう。
日本人なら、あるいは福島の人が可哀想だからということで、福島の農産物を買うかも知れません.でも、外国人はそんなことは考えずに「何ベクレルですか」と聞くだけです.
そんなときに数値を示さずに「安全です」などと言っても、信じてもらえないのは当然です.逆に「土地が汚染されているのに、なぜ野菜だけ綺麗なのですか」と聞かれて困るだけです.
・・・・・・・・・
原発から半径20キロの地域から、除染した方が良いと思います.
まずは、道路、公共施設、学校、重機が使える田畑や平地から始め、次に森林を伐採し、草を刈り取って原発の横に焼却場を作り、全て焼いて葉についている放射性物質をフィルターでトラップします.
まずは、道路、公共施設、学校、重機が使える田畑や平地から始め、次に森林を伐採し、草を刈り取って原発の横に焼却場を作り、全て焼いて葉についている放射性物質をフィルターでトラップします.
まずは出来るところから手をつけるだけで、放射性物質は2分の1から3分の1に減るでしょう.
除染する目的、それは「故郷を取り戻す」ということであり、「日本はこのぐらいではへこたれないぞ」という力を示すことです.
もし、「原発事故があっても、1年以内にクリーンな大地を取り戻す日本」ということになれば、それはとても良いことだからです.
もちろん、福島市、二本松市、郡山市はもちろん、いわき市も白河市も関東のホットスポットも、自治体は行動を起こしてください。「これぐらい」などと言っていると30年続きますから、「あそこは汚れている」ということになるだけです。
先祖代々の故郷を綺麗にすることはできるのです!!
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人間には失敗はあるし、悪い奴もいる。
でも、それを素直に認める勇気を持ち、
どうしようもないときには逃げ、
出来るようになったら全力を尽くし、
そして故郷を取り戻す。
福島の人を助けること、
それは汚染された野菜を食べることではなく、
批判したり受け入れなかったりすることでもなく、
福島を綺麗にするのに力を貸すことだ、
それなら、日本人は全力を尽くすだろう.
でも、その福島がSPEEDIのデータを隠し、
野菜のベクレル表示をせず、
ウシや瓦礫を日本中に拡散することを続ければ、
あるいは日本人でも愛想を尽かすかも知れない、
自分たちの失敗は自分たちの世代で片付けておこう.
(平成23年5月11日 午前10時 執筆)武田邦彦

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