2009-06-26

黒星病Black Spotとの闘い2 -菌糸の正体を探らなきゃ-

薔薇の名前:『ブランピエールドゥロンサール』(HT)〈Meilland, 2005 〉
ブランBlancとはフランス語で「白い」という意味。我が家では黒星病への耐病性が高いような印象。三年に一度バラの歴史の長い国で開催される世界バラ連合会第14回大会にて「世界で愛培されている名花」の殿堂入り'Rose Hall of Fame'という名誉を獲得した『ピエールドゥロンサール』。その枝変わりで姉妹花であるバラ。時の開催地は大阪だった。〈世界バラ連合会については近日UP予定。お楽しみに!〉


 
ブランピエールドゥロンサール(Ant白)国産苗大苗6号鉢植品
ピエールドゥロンサール(Ant桃)国産苗新苗


黒星病のことを調べていて、これまで何度ももどかしい思いをしたり、大きな疑問符を残したままバラの栽培書をパタンと閉じたり、を繰り返してきた。
なるほど長井雄治著『バラの病気と害虫』(農文協, 2005)を読めば黒星病という病気についての概要は掴めるが、その対処方法には私が持っていない、また、今後手にすることも(恐らく)ない「農薬取締法」に登録されている合成化学薬剤名が並んでいる。上記書籍に限らず、流布しているバラ栽培書においても同じ事である。

 サプロール
 ダコニール
 マンネブダイセン
 スミチオン
 マラソン
 コロマイト
えとせとらえとせとら(黒星病対処薬ばかりではありません、念のため)

いろんな薬剤名がどの書籍にも出てくるから、名前だけは覚えちゃったわよ!どれが何に効果があるのかは分からないけど。あ、先日届いたレイチェルカーソンの『沈黙の春』でも目にした薬剤名が。。。

よって、無農薬に限りなく近づけて黒星と対処するぞ!と、いざバラと向き合ってみれば、今閉じたばかりの栽培書に記載されている手法は「自分ちの狭い庭」という実践の場とはいきおい乖離してしまうのである。

あぁもどかしい、もどかしい!生物学用語わからんから尚もどかしい!ネットでいろいろと調べては、どれもこれも有効に思えてきたり、ダメに思えたり。イライラは募るばかり。そんなことをしている間にも黒星病菌は今も活動を続けていて、未だ病気にかかっていないバラの葉っぱを狙っているというのに!
やっぱ、敵の正体を知ることから始めないと。で、もどかしい思いをlogに刻んで積み上げていかないと。以下、黒星病だけに黒っぽい(文字だらけってこと)です。

【黒星病について覚え書き】(第一回校正済20090627)
〈黒星病の病原菌〉
完全世代:Diplocarpon rosae Wolf
不完全世代:Marssonina rosae (Trail) Sawada

糸状菌の一種で、子嚢菌類に属し、子嚢、子嚢胞子、分生子層、分生子などを生じる。日本では子嚢や子嚢胞子についての詳しい記録はない。
子嚢菌についての詳細はココを参照。

まー、やったら分かりにくい。要するにカビみたいなもんと考えることにしとこ。
完全世代ってのは、有性生殖で菌が増えていくこと。不完全世代ってのは、無性生殖で菌が増殖すること(せんでもええよ!)。分生子ってのは糸状になっている一つの菌がちぎれて分かれて二つになること。とりあえず考えなあかん敵の正体は分生子(胞子)ってことやね

〈発生から伝染まで〉
黒褐色の不規則なギザギザで縁取られた病班が成熟すると黒点状の「分生子層」が発生する。やがて病班の周囲は黄変して落葉しやすくなり、小葉が次々に落下し、ついには葉柄基部から葉が落ちる。葉の裏面にも同様の病班が認められるが、表面より少ない。分生子(胞子のこと)は多湿時に病班上で白色の粘塊状となり、雨滴とともに飛び散り、あるいは昆虫の体に付着して伝染する。外国での報告では、子嚢胞子は被害落葉の病班上で時に認められる。空気伝染するが事例が少なく伝染源としての重要性は低い。

要するに黒っぽいギザギザの点や丸の箇所(これを病班という)に、「分生子層」がまずは作られて、
次に、この分生子層(そこには病原菌である胞子がたくさん入っている)の表面膜が弾けるか破れるかして胞子を葉の外部に出してしまうわけだ。
飛び出してきた胞子は水滴や虫の体にくっついて病班部分からあちこちに飛散し、菌が伝染するということか。
けど空気感染はしないってことね。 白い粘塊状ってどんなんやろ?注意して見たことないな。第一人間の目に見えるものなんかい?難解じゃ。

〈越冬の仕方〉
菌は被害葉(暖地)や被害茎の病班上や落葉の病班上で、菌糸、分生子、ときに子嚢胞子で越冬する。春になり、若枝が伸長してくると越冬菌の分生胞子が雨滴伝染し或いは子嚢胞子が空気伝染する。発病株の枝や若枝の病班上には新しい分生子が形成されて伝染する。盛夏の高温期には伝染が一時的に抑制される。秋口に再発。暖地や温室内では病原菌は病葉や病茎の病班上で一年中生存している。飛び散った分生子は土壌中や植物上あるいは農具などの器物上で一ヶ月以上にわたって生存することは出来ない。

→分生子が越冬する場所は、病気にかかったバラの枝や葉の上。土の上に飛び散ったり、オベリスクやトレリス、支柱などにも菌がくっついても、寒い時期の菌寿命は約1ヶ月ってことね。注目すべきは「土壌中で一ヶ月以上生存しない」か。ここを狙い撃ちすべ!

〈感染条件などややこしいので以下のように整理〉
分生子(胞子のこと)は、 順番として
発芽して(適温は18℃:発芽するには水分のある葉で9時間以上必要)
  ↓
感染して(適温は19-21℃:葉に感染するには7時間以上濡れた状態が必要)
  ↓
進展する(適温は24℃)

ありゃ~~!ここ何日かの関東地方の状況やないかー。 もっと外気温が低い地域だと状況も違うんで内科医?

1:分生子(胞子)の発芽には水分にちゃぷちゃぷ浸かる時間が最低5分間は必要だとか。んなもん、つきっきりで水滴払う以外にどないせっちゅーの!んでも 湿り気のある葉の状態を出来るだけ少なくするってことが「分生子(胞子)」の発芽を抑えることにはなるね(降雨の場合を除く)。

2:分生子(胞子)が発芽しても、それが葉に感染するには7時間以上の「濡れ」時間が必要となるってことは、やね、マンションのベランダや軒下のように葉が濡れにくい環境だと黒星病が発生しにくいってことね。ふむふむ。

---to be continued---
#以下長くなるので別投稿にいたしました(黒星病との闘い3へ続く)

参考文献:上記長井農学博士の書籍等

8 件のコメント:

  1. だいぶ怖い薬の名前が並んでますが(スミチオンなんて人だって死ぬでしょ)、それらを使っても、発症してしまったものは治せないと書かれているものがほとんどですね。
    と、いっても私の読んだものなんて楽趣味さんの足元にも及びませんが・・
    だから、予防重視でというのは人間の病気にも似ています。

    ところで「白色の粘塊状」のモノには少々心当たりがあります。黒星で落ちた葉を放置しておくと、初めは黒星の輪郭に沿って、のちに黒星の部分全体に広がるように白く湿ったカビ状の物質がくっつくのを見たことがあります。確かに水やりや雨などで濡れると粉のように流れていきました。もしかしてこれのことですかね。カビだと思ってたんですが・・

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  2. みけさん

    さすがみけさん!仰るとおり「予防は最大の防御」です!

    白色の粘塊状に心当たりがおありになるとか。次回見つけたら是非証拠写真を撮っておいて下さいませ!
    真菌だから私たちが生活の中で目にするカビと同じような物かと思ってはおりました。

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  3. こんにちは。
    今朝はありがとうございました。
    こちらはただいま土砂降りです。
    黒ちゃんは隔離病棟に移し、葉っぱもばっさりと落としました。
    水やりも乾かし気味にですね!
    私はニームは持っていませんが、バラのつぼみや葉を守るって言うものをホームセンターで買ったのがあるのでそれをシュッシュしておきました。
    後は綺麗な葉が出てきてくれるのを。。。

    黒星病その3を待っています。
    色々ありがとうございました。m(__)m

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  4. kebeさん

    少し時間はかかるかも知れませんが、枝が元気であれば新しい葉がでてきますよ。葉を取り除いたところに「ぶくっ」と芽が膨らんでいるところがあるでしょ?その辺りに活力剤をスプレーしてあげると良いかも。
    その3で述べる予定ですが、以前の黒星記事でも登場した重曹希釈液が結構がんばってますよ。
    心配事があったらいつでも、このブログコメントでもいいですし、このブログの右側に「読者になる」欄の下にある「バラの家」掲示板(リンクが貼ってあるのでクリックすればページが開きます)にでもご相談下さいな。遠慮は無用ですよ~。

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  5. こんばんわ!

    そうですね、、
    根気よく頑張ってみます。
    ご心配いただいて、ありがとうございます。

    重曹希釈液♪
    最初、マカロンさんちから飛んできた頃だったかな?
    こちらで拝見して、作ってみました。
    新しいのを作ってスプレーをしばらくしてみます。
    お聞きするのも恥ずかしい内容かもしれませんが、またお世話になると思いますがよろしくお願いします…m(__)m

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  6. kebeさん

    応援してますからー。
    一緒に黒星と闘いましょー、バラのために^^

    重曹希釈液は以前500倍でやってみたら、若干液の垂れたところが薬害っぽくなってしまったので、最近1000倍で再実験中です。新しく作る場合は1000倍くらいから試しながらやった方が良い結果が得られると思います。

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  7. こんにちは!
    応援♪
    ありがとうございます。
    今日は雨も上がりましたが、むんむんです。
    また時々ご報告に伺います。

    そうそう、今日、バラの家の店長さんのブログに行ってきました。
    分かりやすい剪定方法など、びっくりしました。

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  8. kebeさん

    本ブログにリンク貼っている-バラと暮らす日々-(「バラの家」掲示板)で、すみれさんという方が、重曹希釈液をスプレーして黒星から復活したバラの報告をしてくれてます。効果が実感できて嬉しいです。たまに覗くと色んな情報が出ていておもしろいですよ~。

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